最近、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)という素材を使い、何か凄い物を作ろうと妄想しています。
CFRP は、アルミ合金よりも軽く、剛性は鋼の約 2 倍、熱膨張率が低い(設計によっては殆どゼロ)など優れた特性がありますので、航空宇宙産業や F1 レースなどの先端分野で使われていますね。身近なところでは釣竿やゴルフのシャフトにも採用されています。
カーボン(Carbon)というと一般的にこの CFRP がよく知られていますが、カーボン=炭素(元素記号:C)の意味であり、炭素原子の結合様式により、sp3 混成軌道から成るダイヤモンド、sp2 混成軌道から成る黒鉛(グラファイト)やフラーレン、sp 混成軌道から成るカルビンもカーボンの仲間(炭素の同素体)です。
ちなみに放電加工用電極で使用されるグラファイトは、黒鉛をカタカナ英語で表記したもので、黒鉛材料の中でもとりわけ放電加工に適した材料を指します。
まーぁ濃い話はこれくらいにして(あーもっと書きたい!)、ここでは炭素繊維のクロス柄デザインを楽しんでみることにします。
何をするかと言うと、水冷 PC に設置してある温度計のデザインを CFRP 化させます。
まず、ちょっと説明から・・・
水冷 PC のラジエータが、5 インチベイを上から 2 段分占領しています(フルタワーケースなので、5 インチベイは 10 段あります)。
このデッドスペースは勿体無いので、デジタル温度計を設置していて水温をモニターしている訳ですが、このデザインは見飽きてしまったのでサクッと CFRP 化しました。
5 インチベイのフロント部にマウントしてある、デジタル温度計を取り外します。
温度計は、センサー部にサーミスタを使用している「表面温度センサモジュール」です。
留めてあるネジをばらすと、温度計をビルトインした 5 インチベイ用の樹脂フレーム、化粧用のアルミの薄板、アクリルプレートに分解できます。
アルミの化粧板と同じ寸法に CFRP を切り取ります。
この CFRP 板は 0.25㎜ と薄いので、ウォータージェットという機械(加圧された水を細いノズルから噴射して、材料をカットする装置)など必要なく、一般のカッターやハサミで切断できます。
アルミ板を CFRP の板に取り替えて、先ほどばらした部品を組み立てます。
最初より温度が下がっているのは気のせいです。そんな効果はありません!
ですが、クールなデザインになりました。
PC に温度計を取り付けて完了。作業に要した時間は、わずか30分程度です。
この作業は意外と簡単でしたので、もっと CFRP の薄板をカットして PC にベタベタと貼って行こうかと思いました。
もっと欲を出して、2~3㎜ の CFRP 板を使った 総 CFRP のPC ケースなんて良くないですかね(艶無しのプレートのほうがキマルかな)。フレームになる部分は意味も無くチタン合金など使ったりして・・・エンジニアなんで、コストや採算性を気にしなければ何でもつくれます。
国際宇宙ステーション(ISS)・H-IIAロケット・次期旅客航空機のボーイング 787 にも採用されている CFRP が、自分のパソコンにも簡単に取り付けられるという例、いかがでしたか?見た目カッコイイっすよー!
※ CFRP にもランクがあって、ここで使用している CFRP は航空宇宙産業で使用しているカーボンよりも若干ですが強度は落ちます。それでも正真正銘の CFRP (ドライカーボン)です。