【PowerShot S100】キヤノン開発エンジニアが語るブロガーミーティング
先日、キヤノンマーケティングジャパン本社にて開催された、「コンデジの匠が語る」キヤノン PowerShot S100 ブロガーミーティングに参加してきました。
キヤノン PowerShot S100(以下S100) が進化した大きなポイントは、
広角端F2.0-望遠端F5.9、24-120mm相当(35mm換算)光学5倍内蔵ズームレンズを搭載
新イメージセンサー、自社開発の“1/1.7型 CMOS センサー”を搭載
新映像エンジン“DIGIC5”を搭載
です。
デジタルカメラの画質を大きく左右する3つの要素、
レンズ ・ イメージセンサー ・ 画像処理エンジン
が一新され、更なる高画質化のために S100 は誕生しました。
この機種のターゲット層は、従来からの「写真やモノ寄りのユーザー(40~60代男性、一眼レフにも精通)」と、開拓層である「クリエイティブ志向の高いユーザー(コンパクト普及機以上の性能を求めるハイエンド志向)」とも伺いましたので、やや技術寄りにレポートしたいと思います。
※ 画像をクリックすると拡大表示できます。
2代前の PowerShot S90(以下S90)は、「薄暗い居酒屋でも、いい画が撮れるカメラを作れ」というコンセプトのもと、開発がスタートしました。
S90 の開発チーフであり、S100 も同職をご担当したエンジニアの方は、一滴もお酒を飲めないのに「居酒屋」という場所であったり、ストロボ設計が専門分野ながら「ストロボを焚かずにいい画が撮れるコンパクトデジカメの開発」ということで、困ったり苦しんだりした時期もあったそうです。
S90 開発スタートの「低照度環境でも、ストロボ無しで、手ブレせずに、いい写真が撮れる、コンパクトデジカメ」というコンセプトは、現在の S100 にも引き継がれています。
この S100 は、「開発者が自分でお金を払ってでも買いたいカメラ!」と語っていましたので、かなりの自信作であることが窺い知れます。
S100 のショルダーネームは、“COMPLETE EYE .”。
ショルダーネームとはキャッチフレーズみたいなもので、同社のデジタル一眼レフカメラ“EOS 7D”のことを“IMAGE MONSTER”と名付けているのと同じ扱いです。
キヤノンのコンパクトカメラ史上で、ショルダーネームを付けたのは、この S100 が初めてなんだそう。
ちなみに、このCOMPLETE EYE(コンプリート アイ)とは、“完成された「眼」”を意味します。
『今までにない綺麗な写真が撮れる』・『撮れなかった世界が撮れる』・『写真との向き合いが変わる』というコトにも通じ、これらは各プロモーションで実証して参りますとのことです。
S100 のデザインについては、従来からあるブラックボディに加え、チタンカラーのシルバーボディが新たに登場しています。
既存のユーザーからは、S90 の頃からホワイトやシルバーなどのボディカラーについて要望があったそうで、それが S100 で一部実現した訳です。
ハイエンドコンデジにふさわしく、シンプルで落ち着いた表現を目指し、デザインされたそうで、ダウンサイズ&キープサイズをミッションとして、総体的なコンパクト化を実現しています。
グリップが付いたのも特徴の一つで、従来機よりホールディング性を向上させている点も、見逃す訳にはいきません。
あまり見る機会がない、意匠の初期段階でスケッチされた、S100 の上流デザインのひとつ。
ラフスケッチ画より、3次元CADソフトを使いコンピュータ上でデジタルモックアップの制作、そのデジタルモックアップのデータより実物大のモックアップを製作していくのが、現在のトレンドであったりします。
S100 の場合も何体かのモックアップを作り、プロカメラマンやカメラ好きの方に、見て貰ったり握って貰ったりして、最終の形状に詰めていったそうです。
グリップの形状については、写真や画で見ている時には社内評価がイマイチであったデザインが、モックアップを創りいざ握ってみると意外にも高評価であった不思議なグリップが、製品に採用されたというエピソードも伺うことが出来ました。
見た目以上に“しっかり握れるグリップ”なんだそうです!
レンズ周囲に装着されている「コントローラーリング」は、薄くなりながら回しやすい形状を幾つも試作をして、製品に至っています。
この「コントローラーリング」は、手で回転させることによって素早い撮影条件設定が可能になり、Pモード[プログラムAE]ではISO感度、AVモード[絞り優先AE]では絞り値、TV[シャッター優先AE]ではシャッタースピードなどが、標準の設定で割り当てられます。
また、背面の「RING FUNC.」ボタンを押すと、露出補正、ホワイトバランス補正、ピント調整、焦点距離の切り替えなど、好みの設定も「コントローラーリング」に割り当て可能になっています。
「RING FUNC.」ボタンを好みの設定にし、背面操作部の「コントローラーホイール(FUNC. SETの外周にある)」と、前面の「コントローラーリング」を組み合わせることで、より高度なマニュアル設定も可能になり、カメラを操作する喜びが更にプラスされています。
上面操作部のデザインは、適度に段差をつけて指のかかりを良くし、小さいながらも回しやすいこと操作しやすいこと、立体感などをコンセプトにしたそうです。
モードダイヤルは、回しやすい操作形状と不意に回ってしまわない様な、しっかりとした操作感(クリック感)があります。
ブラックボディは細かい凸凹を施した半艶消しのブラック塗装、シルバーモデルはチタンカラーのアルマイト処理で、光学機器らしい上質な仕上げにしています。
▲ S100で撮影した、シルバーボディのS100
シルバーボディのアルマイト処理は“陽極酸化皮膜処理”とも呼ばれ、塗装やコーティングと異なりアルミの表面改質処理ですから、アルミ表面が硬くなるのでキズが付きづらく、耐磨耗性や耐食性などで優れた状態を保ちます。
● HS SYSTEM
高感度センサーと映像エンジン“DIGIC”の連携による「HS SYSTEM」。
従来のデジタルカメラが不得意としていた、暗いシーンでの高感度撮影とノイズを抑えるために、威力を発揮するシステムです。
高感度撮影でもノイズの少ない、粒状感のない綺麗な画質を目指しています。
● F2.0始まり光学5倍ズームレンズの新レンズユニット
開放F値 2.0 始まり、24-120mm 相当(35mm換算)光学5倍ズームレンズが内蔵されています。
S95 のレンズと比較すると、広角側が 28→24mm、望遠側が 105→120mm、光学ズーム倍率 3.8倍→5 倍に、本体の厚みが薄くなりながら、レンズのスペックは逆に拡張されています。
F2.0 の明るい(光がいっぱい入ってくる)レンズは、暗所での撮影に適していますし、被写界深度が浅くなりボケ味のある写真作品が撮れると思います。
被写体に 3cm まで寄れるレンズは、テーブルフォトを楽しんだり、テレマクロで花やアクセサリーなどの接写撮影に重宝しそうです。
広角側が 24mm(相当)なのも魅力のひとつですね。風景写真や建物の写真などで、臨場感を広く表したい場面にも対応しています。
24mm から 120mm の焦点域があれば、スナップ撮影でまず困ることは少ないと思います。
6 群 7 枚の構成レンズが、沈胴時に 10 円硬貨以下(22.1mm)に収まるほどの、コンパクトなレンズユニットになっています。
S90 の時からの、薄くて F2.0 のレンズは搭載するというコンセプトは引継ぎ、無駄な部分をそぎ落とすことで、大口径になりがちな明るいレンズを更に小型化し進化させたそうです。
● CMOS センサー
S100 のために新しく開発されたといっても過言ではない、キヤノン自社開発の 1/1.7 型CMOS(シーモス)センサー。
デジタル一眼レフ EOS の CMOS テクノロジーが、ふんだんに使われているそうで、S100 用にも最適化されています。
高感度撮影においては、センサーの出力レベルでディテールになる部分とノイズを区別できるようしておくことが大事で、フォトダイオード上にどれだけ光を効率的に集めるか、フォトダイオード内の光を電子に変換する部分で如何に効率的に電子に変換するか、その電子に変換された信号をノイズが少ないままデジタル化すること、この3つのポイントを中心に開発されています。
平たく言ってしまうと、光を効率よく電気に変換することですね!
イメージセンサーは、非常に微弱な電気を発電する、1画素ごとの非常に小さなソーラー発電機の集合体とも言え、あまり暗いと発電しない・・・それがデジタル写真ではノイズとして表れてしまうので、電気の出力レベルを上げるため頑張っている訳です。また、膨大な量の微弱な電気信号を瞬時に扱うので、電磁ノイズの影響を少なくして高速処理する技術も要求されます。
● 映像エンジン、DIGIC5
処理速度が向上し、ノイズリダクションなどの性能が進化した、新映像エンジン「DIGIC 5」を搭載。
イメージセンサーなどからの電気信号を、独自のアルゴリズムで高速に画像データを生成する、デジタルカメラの中では頭脳とも言える部分です。また、ノイズを高度なレベルで除去しています。
DIGIC 5 で大きく変わったところは高感度画質。暗くてもフラッシュが焚けないような場所での撮影に、最適な状態になっているそうです。コンパクト機用は、撮ったその場でも楽しめ、スッキリさ感や爽やかさ感を、あとで思い出させる様な画を目指しているとも伺いました。
「ノイズを除去して、階調は残す。今までの DIGIC の歴史のなかでもエポックメーキング、ナンバーワンと言ってもいいほどの、大きな変化を遂げたと思っている。」と、DIGIC担当のエンジニアが語っていましたね。
▲ 手前よりPowerShot S100、S95、S90
その他の機能として注目したい点は、
● ノイズリダクションレベル調整
特に夜景など高感度撮影時に威力を発揮する、ノイズリダクションのレベルを「強」・「標準」・「弱」より選択が可能です。
● NDフィルター設定可能
光量を約1/8に絞り、“白とび”しやすいような晴天時での屋外シーンを開放絞りで撮影したい場合や、滝や小川などの水流を長時間露光して撮影したいようなシーンで設定すると、便利な機能です。
●アクティブフレーム対応
任意の位置にフレームを移動して、ピントを合わせることが可能です。
● 露出補正の段数が±3段に拡張
従来モデルから±1段ずつアップしました。ハイキーな明るめの写真にしたり、ローキーの暗めの写真にしたりと、意図的に写真作品を調整できます。露出の値は1/3段のステップで細かに設定できます。
●最高シャッタースピードが1/2000秒にアップ
従来モデル(1/1600秒)より高速化され、1/2000秒までの撮影が可能になりました。
●ハイビジョン動画が撮影可能
フルハイビジョン 1920×1080:24fps の動画も、撮影可能になりました。
● 最大約9.6コマ/秒の高速連写
決定的な瞬間を逃さない、ハイスピード連写HQ。
● 位置情報を記録する、GPS機能を搭載
撮影場所の情報を画像データと共に記録し、撮影場所ごとに写真を整理する場合に便利です。
高画質化のために更に進化した
キヤノン PowerShot S100
発売時期は、2011年12月上旬です。
いいところ尽くめで書いていますが、美しい画質のために正道を突き進んでいる、キヤノンエンジニアの方向性に、間違いは無いです。1,000人以上ものキヤノン社員の方々が、何時でも何処でも誰でも簡単に綺麗な写真が撮れるカメラのために、毎日まじめに努力しています。
ハイエンドコンデジのセグメントで、この機種(S100)を待ちに待ちに待っていた自分は、IXY DIGITAL から卒業して(たぶん)購入します 購入しました!
カメラに興味がある皆さんも、是非実機をキヤノンショールーム・家電販店・カメラ専門店などで手に取り、真剣にご検討されて下さい!!
S100 で撮影した写真作例は、このブログで順次掲載していく予定です。
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