JAL 機体整備工場&客室教育・訓練センター見学会(5)|CA(客室乗務員)ができるまで
■ CA(客室乗務員)ができるまで
CA なる人は、入社後に接客マナーや業務する上で必要になる基礎知識を、OJTを含めて約2ヶ月間、みっちりと教え込まれるそうです。
初期訓練では、表情・姿勢・視線・身だしなみ・話し方などのプレゼンスを中心に、立ち居振る舞い、挨拶、お辞儀、座り方、歩き方、言葉掛けなどの技量を身につけます。
サービス要員として、機内サービスの基本的な訓練を実施。
この訓練や試験内容などは、独自に設定・運用できるため、(当局からの拘束はないものの)JALのサービスコンセプトに併せて、社内で決められた接客方法やサービスを学びます。
保安要員になる資格として、細かく規定化されている厳しい訓練を受け、その審査は厳密に行われます。
接客要員として求められるもの、保安要員として求められるもの、両方に基づいて訓練を受け、これらの訓練・試験をパスしないと、実際に業務には携われないそうです。
その後、羽田の専門組織にて国内線業務に従事します。
次のステップとして、約1年半から2年のタイミングで、国際線移行訓練を受け、成田にて国際線を乗務します。
この間は、毎年1単位で契約更新され、3年の契約更新後に正社員に切り替わります。
■ その他の訓練・研修について
● 機内アナウンス(PA)
お客様に不快感を与えないよう、発音、間のとりかた、声のトーンなどに気をつけます。
社内の資格を取得後、一定レベル以上の者が機内で実際にアナウンスする資格が与えられ、3年経つと新たに審査を受け更新されます。
実際の機内アナウンスは、こんな感じです。
「皆様こんにちは、本日も日本航空にご搭乗下さいまして誠に有難う御座います。この便は日本航空○便、JFケネディ国際空港行きで御座います。この便の機長は○○、私は客室を担当致します○○で御座います。間もなく出発致しますので、シートベルトを腰の低い位置に確りとお締め下さい。本日ニューヨークまでの飛行時間は、離陸後12時間30分を予定して居ります。それではニューヨークまでの空の旅、どうぞごゆっくりとお寛ぎ下さい。
Good afternoon ladies and gentleman, Welcome on board ・・・」
● 機内英会話(EOL)
初期訓練中の授業は、機内での場面を想定した基礎となる英会話。
その後は、CA各自がフライトの合間を縫って、英検のようなレベル12から20までの社内検定を受けます。
● 救難訓練
「ご搭乗中の皆様、こちら機長の○○です。当機はエンジントラブルのため航続飛行が困難になり、残された最大の処置として緊急着水をすることを決定いたしました。客室常務員はこの種の緊急事態に備え訓練を受けております。落ち着いて客室常務員の指示に従ってください。」
キャプテン(機長)より、こんな機内アナウンスは絶対に聞きたくありませんけれど、客室常務員は緊急事態を想定して、新人訓練時と毎年実施される救難訓練を必ず受けています。
ラインアウト後に毎年実施される救難訓練は、だいたい誕生日月の前後にアサインされ、運行乗務員(パイロット)・日本人客室乗務員・海外基地客室乗務員の全員が加わるそうです。
● 機内韓国語会話(KOL)・機内中国語会話(COL)
機内英会話と同様の、韓国語・中国語の検定もあります。
●手話
飛行中に遅延や空中での待機があったとき、適宜機内アナウンスでご案内してますが、耳のご自由なお客様にも安心して頂けるように、手話でのサービスも行っています。
■ “きさくで美人”
JALでは、「サービス品質評価制度」を導入しています。
評価される品質とは、プレゼンスの業務姿勢に代表されるヒューマン・エレメンツ、および、訓練・経験・教育により取得したテクニカル・エレメンツの、15項目のエレメンツで構成されています。
これらのエレメンツを基に、客観的・総合的に評価する仕組みをつくり、より高いサービス品質の実現を目指しています。
ただ単にレベルを高くするのではなく、バラつきの是正をしてその差が少なくなる様に幅を狭め、全体的な品質を向上させる目的のものです。
これら全てが揃いまして、すべてのお客様にご満足いただける、“きさくで美人”のCA(客室常務員)が出来上がります。
CA さんになれる資質って、容姿や容貌だけではなくて、まず心身ともに健康であることが大事。さらに、コミュニケーション能力(対人関係能力)があり、明るさ・温かさ・優しさ・親しみやすさを兼ね備え、機転・気配りもできる人。そのほか、英語などの語学力が求められます。
仕事のほうは、緊急事態にも即座に適切に対応できる“保安要員”の役割と、機内アナウンスやドリンク・食事などのサービスを提供する“接客要員”の役割があり、その内容は多岐に渡ります。1日のスケジュールを見ても、かなりのハードワークです。
CA さんというと、気高さや華やかな一面がよく採り上げられたりしますが、厳しい訓練や様々な試験をパスしないと乗務できない世界でもあり、誰もが簡単になれるような職業ではなさそうですね。
※ この記事シリーズは、2010年2月13日に開催された、リンクシェア・サロン「JAL日本航空 機体整備工場見学会」に参加してきた時の模様を纏めたものです。
▼ JAL 機体整備工場&客室教育・訓練センター見学会
- プロローグ
- 空のエコ(JAL エコジェット)
- 羽田第一格納庫(M1ハンガー)
- 羽田第二格納庫(M2ハンガー)
- CA(客室乗務員)ができるまで
- 客室訓練部レビュー
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