Lenovo ThinkPad X100e 詳細レビュー
※ほとんどの画像は、クリックして拡大表示できます
▲ Lenovo ThinkPad X100e(ヒートウェイブ・レッド)
第4世代モデル、ThinkPad X100e シリーズの特徴は、「ThinkPad の経験をもっと多くのお客様へ」というコンセプトのもと、従来製品で培ってきた堅牢なつくりや定評のあるキーボードなど、ThinkPad の高い操作性・信頼性・堅牢性はそのままに、お求めやすい価格のモデルであることです。
また、シンプルでわかりやすい操作性、従来の黒一色のボディから“レッド”や“ホワイト”のカラーモデルを投入して視覚的に訴求するなど、ユーザー層の拡充が図られています。
今までの ThinkPad は大企業のお客様向けという位置付けで、アイデンティティである“つや消しブラックボディ”に“赤いトラックポイント”のカラーは、仕事で使うには目立ちすぎず多くの法人ユーザーに支持されていたそうですが、仕事場から家に持ち帰って使うには野暮ったいカラーとの声もあり、ユーザーからの声を反映したモデルにもなっています。
黒以外のカラーモデルの投入は、ThinkPad らしくない選択だとPCマニアの方には感じるかもしれませんが、ThinkPad X100e を購入検討している初・中級者あるいは女性の方にとっては、カラーバリエーションという選択肢があったほうが、購入に踏みきるキッカケにつながると思います。
ThinkPad X100e は、ネットブックのように手軽に使えて性能的に遜色無い「ウルトラポータブル・ノートブック」というセグメントの商品です。
手に入れやすい価格帯(500~1,000ドル)に位置した小型軽量のモバイルPCであり、ThinkPad としての信頼性・堅牢性を引き継ぎながら、新しいデザインや使い勝手を追及し、ThinkPad を初めて使うユーザーにも簡単に使えるように新設計されています。
また、ThinkPad ブランドを維持しながら低価格モデルを投入するにあたって、神奈川県にある Lenovo 大和事業所( ThinkPad の開発拠点)の開発部隊が知恵を絞って、いろんな技術を組み合わせて完成させたそうです。
ノートパソコンにおいて“キーボード”は、その機種の印象をも決めてしまう重要なファクターで、一番開発費用が掛かっているとも言われるパーツです。
ThinkPad X100e は、新設計の“6列配置アイソレーションキーボード”を搭載。キーピッチはフルサイズ規格、キーストロークはモビリティを優先して 2mm と、従来 ThinkPad より少しショートストロークになっています。
アイソレーションキーボードは、キー間にフレームを設けキートップが独立したように見えるキーボードのことで、キートップの形状や大きさを維持しながら剛性を高めてあります。
キーボードは、キーストローク・押下力・クリックポイントをグラフに表したフォースカーブと、床下のつくりや頑丈さで打鍵感が変わると言われ、キーボードでも定評のある ThinkPad ならでは伝統のつくりとキーボード職人の匠の技で、X100e はフィーリングの良いキータッチに仕上がっていました。
キータッチは比較的軽めですが、“スコスコッ”っと軽快にタイピングできるのは好印象です。
発売前のタイピングテストでは、レノボのユーザビリティチーム(使い勝手をテストするチーム)が ThinkPad とほぼ同じと評価し、数名のユーザーによる目隠しテストでも、体感的に ThinkPad とほぼ同じだった、との調査結果もあります。
ちょっと話しはそれますが、ThinkPad シリーズの中でユーザーに評判の良いキーボードは、「X300」と「T400S」だとレノボさんより伺ったことがありあます。「X300」は浅く感じるような硬さを持ったパチンパチンという切れのあるキーボード、「T400S」はワイドボディなのでドスドスと深いストリーク感のあるキーボードで、人気を2分しているそうです(X200は両モデルの中間の打鍵感だとか・・・)。
液晶部のリアカバー(天板部)にはドーム形状を採用しています。上の画像で中央部に膨らみを持たせているのがドーム形状で、自動車のボンネットのように剛性を高めて外部圧力による液晶パネルの損傷を防ぎます。
従来の ThinkPad はコストを掛け、マグネシウム合金など軽量な非鉄金属のフレームと、CFRP(炭素繊維強化樹脂)やGFRP(ガラス繊維強化樹脂)のコンポジット材で、ボディの剛性を持たせているのですが、低価格実現のため(知恵を絞って)外装はドーム形状のプラスチック成型品、ドーム内部には最適な形状のクッション材をレイアウトすることで、一定の剛性を確保しています。
ThinkPad のひとつの特徴でもある、“赤いトラックポイント”は X100e にも継承されています。
ただ、この赤いトラックポイントは操作性を(あまり)損なわず、高さを従来機種よりキートップからの高さを 0.4mm 低くしているそうです。
これは、外部から圧力が加わったとき、キーボード中央部に出っ張っているトラックポイントと液晶パネルのギャップが少ないと、最初に液晶表示面に当たりやすいからで、リアカバーの素材やドーム形状にも関連するのですが、低価格を実現するための策ともいえます。
こちらも、レノボのユーザビリティチームが操作性を確認し、ThinkPad と同等であるとのお墨付きをもらっているそうです。
また、同社のネットブック “IdeaPad” がレノボジャパンより発売された時に、「赤いトラックポイントを搭載して欲しかった!」との要望を主幹技師の方が聞き、この X100e にはその声を反映して(なんとか)トラックポイントを搭載できた・・・なんていう、エピソードもあります。
右側面には、メディアカードリーダーと、電源供給型Powered USB ポートを配置しています。
左側面は、マイクロフォン/ヘッドフォン端子(コンボタイプ)、RJ-45イーサネット端子、USB端子×2の構成です。
本体より丸っこく出っ張っているのは、6セルのバッテリー。
6セルのバッテリーの持ち時間は、約5.3時間(JEITA測定法ver1.0)とカタログに記載されていますが、おおよそ2~4割を割り引いて約4時間程度が、実際のバッテリー使用時間になると予想されます。
本体より出っ張らない“3セルバッテリー”も(オプションで)ありますが、レノボジャパンで“6セルバッテリー”を標準にしているのは、電車やバスで移動する際にもノートPCを利用する日本特有の使い方を配慮しているからです。
海外では、移動中にノートPCはあまり使用せず、どこでも同じPC環境を持ち運べるメリットのほうが大きいようで、電源があればどこでもACアダプターのプラグを差して利用するケースが多いです(車で持ち運び移動先の電源を利用するパターン)。
また、VGAポートはリヤに装備され、この位置ですと使い勝手は良さそうです。
ディスプレイは、180度近くまでの開閉可能です(上の画像は、標準の“6セルバッテリー”を装着した状態)。
ThinkPad 品質では、この全開きの状態で液晶パネルの角を片手で持ち上げても壊れない剛性を確保していますから、この X100e でも液晶の角部を手で持ち上げてみました。
X100e は低価格モデルで、安価な素材を使用していると聞いていたので、ちょっと恐かったのですが、ボディは少し歪むもののあまり壊れる様子ではありません!
アメリカ人などは、何故か液晶パネルの角を持ってプラプラと周回する習性(笑)もあるそうで、あらかじめ(このような使用を想定して)対応しているんだそうです。
また開閉角度180度は、複数の人でディスプレイを閲覧するのにも便利です。
↑右側面より撮影していますので、画像の左側が操作側になります。
操作側が大きくカットしてある形状は、操作する時にデザイン的に薄く見えることや、折り畳んで携帯したときに手に持ちやすいという利点もありますね。
[Fn]キーと[Ctrl]キーの位置関係は、従来のThinkPad と同じ配列。
普通のデスクトップキーボードに慣れていると、ちょっと違和感を感じるときもありますが、ThinkPad ユーザーに完全になりきれば特に問題はないでしょう。
[Ctrl]キーと[Z]・[X]・[C]・[V]・[A]キーなどを組み合わせた、ショートカットキーを使うと文章編集とかで便利だけど、コレを使いこなしている人ってどれくらいいるのだろうか。。。
(ゴム足を除いて)底面は凸凹がなく、フルフラットになっているのも評価したいポイントです。
上の画像で、スリット穴が入っているところは強制空冷用の吸気口。PC内部冷却については、大和事業所の冷却設計のエキスパートの方が内部エアフローを解析して、ThinkPad のサーモ規格にも完全に合格しているそうです。
ゴム足はシンプルな設計のタイプです。ThinkPad オリジナルの、猫の肉球をヒントにしたゴム足形状ではないですね。
▲ ベースカバー
ボディは、すべてプラスチック(ABS樹脂)のパーツを組み合わせた構造体で、ThinkPad 品質の剛性を実現しています(とはいっても、従来の ThinkPad よりは少しだけヤワイです)。
(分かりづらいかもしれませんが)ベースカバーは開口部に垂直な壁をつくり、上下の部品(トッププレート&ボトムプレート)をネジで固定することにより、荷重をベースカバー壁面で受ける構造になっています。
言い方を変えると、「2X4(ツー・バイ・フォー)工法の住宅」のような構造です。
ボディのパーツを組み立てた時に剛性は発揮しますが、パーツ単体(この状態)での剛性はそれほど高くありません。
▲ トッププレート
この上にキーボードのモジュールが載ります。
▲ キーボード・モジュール
万が一、水を溢してしまってもダメージが少ない、従来機種と同じバスタブ構造を採用しています。
ただ、ボディの強度確保のため排水口(ドレイン穴)を設けていないため、防水シートを挟み込んだ「スピルレジスタントキーボード」です。ちなみに、この方式は静電気に強いという特徴があります。
ThinkPad シリーズとしては、初めて“AMDテクノロジー”が採用されています。
AMD はマイクロプロセッサだけを訴求する活動をやめていて、マイクロプロセッサとチップに内蔵されているグラフィックス機能をプラットフォームという形でトータルに考え、どういうアプリケーションを利用すればどういうユーザー体験ができるかを、訴求するマーケティングプログラムにシフトしています。
ビデオカンファレンスによる時間コストの削減や顧客コミュニケーションの増加、デュアルモニターでの生産性の向上、3Dアクセラレーションによるプレゼンテーションなど、グラフィックス性能(ATI Radeon テクノロジー)を活用した、ビジュアルによるソリューションを提案しています。
これらのプラットフォームを採用した製品は、コンシューマ向けが“VISION”、企業向けが“VISION PRO” という統一されたブランドに移行しています。
X100e は“VISION PRO”プラットフォームを採用していますから、企業向け製品として安心して使えることを意味します。
▲ メインボード
撮影するために基板を前後方向で裏返しにしてあります(マウントする時は反転させて CPU や CPUファンが左奥側になります)。
ノースブリッジと CPU の廃熱はヒートパイプで熱移動され、冷却ファンにて排出口よりPC外部に放熱されます。
この冷却ファンは、 ThinkPad 従来機でお馴染みの“オウルファン”。フクロウの羽根をモチーフにしたファンブレードを採用し、静けさと強力な冷却能力がある冷却ファンです。なお、このファン1個でケース内の冷却をすべてまかないます。
中央の黒い IC はサウスブリッジ。その右横の白いシールが貼ってあるパーツは Bluetooth のモジュールです。
▲ メモリーモジュール
メモリーは標準で 1 or 2 GB、最大で4GB搭載可能です。
※ 画像をクリックして拡大表示すれば、メモリーモジュールに貼ってあるシールの文字が読めます(詳しい方ならメモリーのスペックがわかります)。
▲ ボトムプレート
ボトムプレートを、筐体外観側の反対から見ています。
▲ HDD + HDDブラケット
ハードディスクは、ステンレス製の“HDDブラケット”で物理的に保護され、ボディへの取り付け部をスプリング構造にすることで、外部からの振動や衝撃を和らげる設計になっています。
さらにPC稼働中は、 G(加速度)センサーが落下や衝撃を感知して、ハードディスクの磁気ヘッドを瞬時に退避エリアに移動させる“アクティブプロテクション・システム”にて、HDD内のデータはさらに保護されています。
▲ 左:ThinkPad X200 右:ThinkPad X100e
最後にボディの大きさを見てみます。
ThinkPad X100e と ThinkPad X200 を比較すると、リアルモバイルの ThinkPad X200 よりも、さらにコンパクトなのがわかりますね。
ちなみに、X200 はラッチを押して液晶パネル部を開きますが、X100e はラッチが無く簡単に開閉できます。
ノートパソコンは移動することが多いため、いつも振動や落下、満員電車の圧迫などの危険にさらされています。
ThinkPad X100e は、従来からの ThinkPad 譲りの操作性・高信頼性・堅牢性を継承していますので、初心者の方でも安心して使用することができるモデルです。
パソコンが起動しないなどトラブルになる原因はいくつもありますが、X100e は ThinkPad 従来機で培ったトラブルを事前に回避する設計にもなっているので、原因不明のトラブルに遭遇することは少ないと思われます。
お求めやすい価格でも、やっぱり ThinkPad X100e は ThinkPad です。
ノートパソコンを購入検討している初・中級者の方!このモデルから 憧れの ThinkPad ユーザーになりませんか!?外出先で使用していると、この人デキルかも・・・みたいな熱い視線をあびるかもしれませんよ!
>> ThinkPad X100e のもっと詳しい情報は、
コチラよりご覧いただけます。
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