JAL 機体整備工場&客室教育・訓練センター見学会(4)|羽田第二格納庫(M2ハンガー)
▲ エアバスA300-600R
飛行機が小さく見えてしまうほどの巨大な施設で、サッカーフィールドを例に挙げると、縦に2面は取れるくらいの広さがあります。
飛行機の手前に、施設見学会の団体さんがいますが、人がめっちゃ小さく見えますね。
見学グループには案内係の方が一名つき、施設の案内や整備内容の解説を受けながら、この施設全体を見学します。
(今回は、JAL様より招待を受けた特別イベントであるため、パイロットやCAの方も付き添いました)
まず、“コックピット(Cockpit)”とは操縦室のことですが、「コック(雄鶏:Cock)」と「ピット(小屋:Pit)」を組み合わせた混成語であり、闘鶏用の鶏(軍鶏:シャモ)を入れておく、小さなカゴから連想されて、生まれた言葉だそうです。
だから、「雄鶏小屋」とも言えますが、(現在JALのパイロットの中で)女性の方が数名いらっしゃいます。
案内係の方より、見学者グループにちょっとしたクイズがありました!
● Q1.飛行機にキーは付いていますか?
→ No です。ありません。
● Q2.飛行機は左側通行ですか、右側通行ですか?
→ 右側通行です(だから、キャプテンシートは左席にあります)。
● Q3.飛行機は自動車のように、方向指示器(ウインカー)がある?
→ No です。ありません。
● Q4.飛行機は後方進行(バック)出来る?
→ Yes ですが、日本では No です。
※ ジェットエンジンを逆噴射すれば(地上では)出来るけれど、塵や小石などをエンジンに吸い込んでしまい、ダメージを与えることもあるので、日本ではしてはいけないことになっています(バックするときは、トーイングカーでプッシュバックします)。
4問目は、ひっかけ問題ですよね。ひっかかったのは私ですけど(笑
旅客機のノーズ部分は“レドーム”といって、「気象用レーダー」や着陸誘導用の電波を受信する「アンテナ」を保護する役割があります。
悪天候時には、航行中の飛行機にカミナリが落ちることもあるので、この“レドーム”の素材は電気を通さない樹脂(プラスチック)でつくられています。
仮に“レドーム”部にカミナリが落ちても、放射状に配置してある金属板(←よく見ると細いスジが見える)を通して、内部に入っている機材が壊れないよう、機体後方に電気を逃がします。
航空機のスピードは“ピトー管”という、ストローのような尖った計測器で測っています。
この“ピトー管”は、2重構造のパイプと圧力センサーからなり、前方から入ってくる圧力と、横から入ってくる圧力をセンサーで計り、その圧力差より飛行速度を計測しています。
旅客機の場合は、だいたい機首の下側に付いていますから、今度よーく見てくださいね。
映画「ハッピーフライト(ANA機使用)」では、離陸時に“ピトー管”に鳥が衝突して、航行中に根元から取れてしまい(運悪くバックアップ用のピトー管は、ヒーターの不良)、外気温が氷点下にもなる上空で航行不能になったそうですが、JAL現役パイロットの方から言わせると、「バードストライクくらいで壊れる部品じゃないんだけどね~ふっふーん♪」だそうです(つぶやいていましたよ)。
旅客機はふつう、1番前のドアか、前から2番目のドアから乗降していますが、いつも左側のドアを使用しているのを気づいていましたか?
これは、航海時代の船の慣習を引き継いでいるからで、飛行機を船に見立てて「シップ(ship)」と呼ぶのも、そのせいなんだとか。
他にも、船にまつわる言葉は、飛行機の左側を「ポートサイト」、右側を「スターボードサイト」と呼んだり、機長は「キャプテン」、客室は「キャビン」、飛行場は空の港で「エアポート」とか、いろいろとあります。
では、飛行機の後方のドアや、右側のドアは、何のためについているの?
飛行機にたくさんのドアがあるのは、非常時の出口用のためで、全員のお客様を“片側”のドアから、90秒以内で脱出させるられる、ドアの枚数がついています。
なぜ“片側”なのかというと、燃料が漏れた場合に引火する恐れがあるので、風上側のドアから非難させるためなんだそうです。
CAさんの搭乗人数も、ドアの枚数からおおよそ決められていて、基本的に一枚のドアに一人のCAさんがアサインされています。
飛行場で飛行機が燃えたら 消防車は何分までに到着しなければいけない?
飛行機は、最低5分間は熱に耐えられる設計になっているので、それよりももっと前ですね。
旅客機の“翼”は、胴体の下側についていますが、本当は胴体の上側についていたほうが性能は良いです。
翼のせいで、窓から下の景色が見えないとか、クレームもあったりするそうですが、ある理由により胴体下側にあります。
それは、もし海や川に不時着したときに、この翼が浮き袋の役目になって、胴体部が水面上に浮いていられるからです。
昔ニュースで流れていた、ハドソン川に不時着した飛行機の映像を思い出してみると、確かに翼のおかげで浮いていて胴体は水面の上にありましたから、乗客の安全のためなのですよね。
飛行機の後方が尻上りになっているのは、離着陸のため。
飛行機が着陸する場合、通常は3度の進入角度で降りてきて、ランディング時には約1.5度にするのが基本だそうです。
羽田空港の場合だと、対岸の木更津上空約 3,000フィート(1,000m)から、真っ直ぐ降りてくると、約3度になるという説明もありました。
あと、ランディングの角度(約1.5度)は、もっと緩い角度にするとソフトに接地できて衝撃も少ないそうですが、着地の位置が奥になり滑走路の長さにも制限があるので、ある程度のところで器用に着けるのが、パイロットの技量だと、JALパイロットの方が語ってくれました。
ジェットエンジンの整備のため、大型のジャッキで、翼をすごい角度で持ち上げていますね。。。
格納庫の出入り口が開き、離着陸する飛行機が間近に見られるのも、この見学コースのみどころです。
轟音とともに着陸してくる飛行機の様子や、駐機している飛行機も間近に見られます。
完全引退が迫る、JALの“ダッシュ400(BOEING 747-400)”。
2010年10月末にはJAL国内線から、2011年2月末にはJAL国際線から、ジャンボジェットの名で愛されていた“ダッシュ400”が、JALから姿を消します。
時代の流れの変化で、もうJAL機で見られなくなってしまうのは残念ですが、そろそろ見納めですよね。
▲ ダグラス MD-81
マクドネル・ダグラス(現ボーイング)の“MD-81”。
燃費や騒音面、経済性で他機より勝っていたため、発売からたちまちベストセラーとなった、短距離用の小型双発機です。
エンジンが胴体の後ろについていて、機体の高さが低いのも特徴ですね。
機体の老朽化などのため、JALフリートより、2010年9月末に退役が決まっています。
※ この記事シリーズは、2010年2月13日に開催された、リンクシェア・サロン「JAL日本航空 機体整備工場見学会」に参加してきた時の模様を纏めたものです。
▼ JAL 機体整備工場&客室教育・訓練センター見学会
- プロローグ
- 空のエコ(JAL エコジェット)
- 羽田第一格納庫(M1ハンガー)
- 羽田第二格納庫(M2ハンガー)
- CA(客室乗務員)ができるまで
- 客室訓練部レビュー
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コメント
はじめまして。
写真撮るの上手ですね!
興奮した様子が伝わってきます。
実は私もJAL工場見学に行って感動を味わってきました。
感動し過ぎてホームページまで作ってしまいました(暇でスミマセン。。。)
お時間がある時に見にきてくだされば嬉しいです!
http://jaljal.web.fc2.com
JAL工場見学マニアより
投稿: JAL工場見学マニア | 2013/09/12 14:06