ナナオ本社訪問記(2)『W2棟/製造工場』
ナナオ本社の敷地内にある液晶モニターの製造工場です。この工場の2つのフロアにて、グラフィックス市場向けの「ColorEdge」、医療用ソリューションの「RadiForce」、汎用モニターの「FlexScan」シリーズなどが生産されていました。
生産方式は、大量生産に適した「ライン方式」と、少量多品種に適した「セル方式」の2通りを採用しています。組立工程の内容はどちらの生産方式も殆ど変わりなく、液晶パネルの保護シートを剥がすところから始まり、シャーシの組み付け、プリント基板の装着、電気配線、外装部品・スタンドの組み付けを経て、製品のかたちになります。
液晶モニターの構成部品のうち、プリント(組立)基板は関連会社の「エイゾーナナオエムエス(株)羽昨工場」で組み立てられ、本社に入荷されています。液晶パネルは、純国産品を採用すると調達コストが桁違いに上がってしまうので、現在は主に海外製品(韓国製が多い)を輸入。外装部品や機構部品、板金部品は取引先パーツメーカより仕入れていました(日本のメーカーが多かったです)。
資材倉庫に一次保管された材料・部品は、生産計画に合わせて生産フロアの材料ストックエリアにロット毎で供給されます。そこから台車やパレットに小分けされて、組立生産ラインに随時材料供給が行なわれています。
■ 液晶モニターの構成部品
▲ 液晶パネルモジュール | ▲ シャーシ |
▲ 操作スイッチ | ▲ スタンド |
# EIZO液晶モニターの主な構成部品
- 液晶パネルモジュール
液晶セル・カラーフィルム・光学シート(導光板)・バックライト - 外装部品
フロントベゼル・バックカバー・スタンド(アーム) - プリント基板
電源基板・信号基板・バックライト基板・操作スイッチ・センサー - 金属部品
スチール製シャーシ・アルミ製シールドカバー・ヒートシンク・スタンド補強プレート - 配線材
フレキシブルフラットケーブル(FFC)・フラットケーブル・シールドケーブル・被覆線 - その他
ネジ、発泡体のスペーサ、型番のシールなど
各部品の加工精度は非常に高く、剛性が必要な部分には物量を投入した部品が使われているのが特徴です。
組み立てられた製品は、安定した調整・検査のためエージングエリアで通電され(長時間、画面の表示もする)、電気調整と厳重な検査を経たのち、EIZOブランドの完成製品として付属品と共に梱包され市場に出荷されます。
ナナオの工場の特色は調整工程・検査工程にあり、カラーアナライザで測定した数値を(EIZO独自の)客観的評価システムを用いて、液晶パネルの色温度・輝度などの調整を行い、教育を受けた経験豊富な検査員が目視による検査を行い、他社製品と差異化が図られるEIZOの高品質を実現しています。
ColorEdge など特定業務用モニターでは、階調やユニフォミティなどのパネル補正。RadiForceシリーズでは2台横に並べて使うことが多いことから、特性の近いパネルをペアリングしてセット(2台1パッケージ)で出荷するなど、入念に人の手が加えられていました。
※ EIZOブランドの製品は、関連会社のエイゾーナナオエムエス(株)七尾工場でも生産されています。
特に液晶モニターのベースになる「シャーシ」は、外部から加わる応力から液晶パネルを保護する役割と、リア中央のスタンド取付部に応力が集中するため、スチール製の板金部品が使用され、剛性・精度とも完成度が高く(外から見えない部品ですが)仕上がりも丁寧に作られています。液晶パネルが歪めば画面表示はおかしくなるので、質量が重くなってしまってもココは譲れないところなのでしょう。
電気信号回路、特にナナオ独自で開発した映像専用プロセッサ(ASIC:エーシック)にコダワリがたくさん詰まっています。この ASIC がナナオの高品質画像表示を支えている最重要部品といっても過言はないと思います。
なお、EIZOショールーム&直営店のガレリア銀座には、医療向け液晶モニター「RadiForce」の分解モデルが展示されていますので、お近くにお住まいの方は立ち寄ってみるのも良いかもしれません(CCFL管が通常の3倍も使用されていたり、信号基板には専用プロセッサが2個装着されていたりと、なかなか見応えがあります)。
また、参考になるか分かりませんが、このブログサイトでは「EIZO FlexScan HD2452W」を分解して紹介しています。
・ EIZO FlexScan HD2452W の分解レビュー
http://kitefield.air-nifty.com/blog/2009/06/eizo-flexscan-1.html
・ EIZO FlexScan HD2452W の ArcSwing 2 スタンド
http://kitefield.air-nifty.com/blog/2009/06/eizo-flexscan-h.html
≫次回、汎用系液晶モニターの生産ラインをレポートする予定です。
※ 2009年9月、ナナオ本社に訪問した時のレポートです。
| 固定リンク
「イベント」カテゴリの記事
- 東京オートサロン(TAS:TOKYO AUTO SALON)2021 はオンラインで開催!(高画質画像集のリンク掲載あり)(2021.01.11)
- 【神田祭2019】神田祭の神輿宮入をみてきました(2019.05.12)
- 東京モーターサイクルショー2019 モデルさん厳選1枚を掲載します(2019.04.24)
- 東京モーターサイクルショー2019で今注目のバイクを見てきました(ヤマハ発動機・ワイズギア)(2019.03.31)
- 【イベントレポート】ヤマハ発動機マリン事業は市場シェアNo.1、ジャパンインターナショナルボートショー2018(2018.03.26)
コメント