「日本ビクター EX-AR3 ウッドコーンオーディオシステムの魅力」 Vol.3

(木製の弦楽器や打楽器の美しい音色を想像すればわかると思いますが)音の良い楽器のように振動板を木で作りたい、振動板に無垢の木材を使用すればいい響きがでる、もっと自然な音、原音に近い音が再現できるはず!というアプローチでウッドコーンスピーカーの商品開発が始まりました。

▲ 試作品です
ウッドコーン振動板の開発は20年も前からで、当時は扇形状の薄板木材シートを貼り合わせた振動板を試作したそうですが、結果は音は良くなるものの安定品質が得られず量産化には成し得なかった。木材なので高温多湿での環境に弱く、経年変化による劣化が見られたようです。

ここからは、商品化されているウッドコーンについて・・・
材質の選定は、伝搬速度と内部損失の物性値が優れている無垢の木材(カバ・シナ・ブナ・オーク・チェリーなど)のなかで、理想に近い特性値のカバ【樺】の無垢材が採用されました。

成型の第一段階はカバ材を薄くスライスし、必要サイズにカットするところから始まります。天然の木を使用していますので、木目にも気を遣わなければなりません。伝搬速度を速くするため、木目はこの向きです。

V字形状にカットして、プレス機で振動板の形状に成型します。

この段階で、ただプレスしただけでは問題が発生!木なのですぐに割れてしまいます。
上の画像を見ると、中心部付近に“ヒビ割れ”を起こしているのが分かると思います。

そこで日本酒の登場(真面目な話ですよ~)。
このヒントを得たのは“スルメの干物”から~ いつもの飲み屋さんで日本酒に一晩つけたスルメが柔らかい!コレは使えるかも???
早速、木材を日本酒に浸しプレスしてみると割れが発生しません!
どうやら、日本酒の“ブドウ糖”や“グリセリン”などの成分が良い方向に作用しているようです。
ちょっと(飲み屋さんあたりが)自分的にはついていけない世界ですが・・・でも、素晴らしい発想だと思います☆
(日本酒と同じ醸造酒の赤ワインでも試されていて、こちらは割れが発生しないものの糖分が多すぎて“ベタベタ”になってしまい採用見送りというエピソードもあったそうです)

温度や湿度の変化にも耐えて、音にも好影響な木材専用の“熱硬化性樹脂”を含浸(がんしん ⇒ 組織内部に機能成分を浸透・固化する方法)し、2次プレスをします。
※樹脂(プラスチック)は、大きく分けて“熱硬化性樹脂”と“熱可塑性樹脂”の2種類があります。熱硬化性樹脂は、一度加熱し固化すると再度熱を加えても溶けることはありません。

最終プレス、防湿加工をして形状を安定させます。

コーン振動板の厚み。↑クリックして拡大表示すると分かりやすいです。
“コーン”についてウンチクすると、英語の cone (円錐状のもの)という意味です。アイスクリームのコーンも形状からそう呼ばれています。トウモロコシのコーン(corn)とは別物ですよ~

内側と外側をスピーカーの形状に型抜きし、エッジを貼り付けます。

製造過程を右から順番に並べてあります。
完成までに約 4 年の歳月をかけて、木の音色を残しながら形状を固定しています。

▲1世代前のウッドコーンスピーカー
木の素材ですので歳月とともにアメ色に変化します。長期使用していると愛着が湧いてきそうなスピーカーユニットですね。
ビクターでは“ウッドコーン”という理想に近い素材を手に入れることができました!
次回に続きます>>
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