SONY 開発者セミナー「Sountina(サウンティーナ)のこだわり」
ゼロからの発想で3年前より開発がスタートした、新しいコンセプトのスピーカーシステム。透明なガラス管にこだわり、インテリアに溶け込むデザインと部屋中を音で満たされるように、というのが主なコンセプトです。
Sountina(サウンティーナ)のネーミングの由来ですが、こちらは造語で“So”は“Sound(音)”から、“unti”は“fountain(泉)”、最後の“na”は優しい韻に聞こえるように加えられています。音の泉をイメージしているんですね。
ふつうステレオスピーカーシステムは、左右に2本スピーカーを配置して前面に音場を再現していますが、このスピーカーは1本で360度均一に音楽を再生します。このシステムのことを SONY さんは「サークルサウンドステージ」と呼んでいました。
形式は、デジタルアンプ内蔵の 3 ウェイ アクティブスピーカーです。形状は円柱で、高さは約 1.8メ ートルあり、中央より上はガラス管で「トゥイーター」と「ミッドレンジの共鳴管」になっていて、下部の土台に見えるところには「デジタルアンプ」と「ウーファー」がマウントされています。
まず、一番の売りであるトゥイーターについては、透明なガラス管が使用されています。
ちょっと予備知識として、ガラスのコップを爪ではじくと“カーン”とか“チーン”と高い音が出ますよね。これは、コップが振動して空気を震わせて、人間の耳に届くとそういう音に聞こえます。
そこで、加振器(振動させる機器)に音楽信号を入力してガラス管を振動させると、音楽は聞こえてくるんです。これが、このトゥイーターの原理!
ガラス管は、いろいろな素材を検討して有機ガラスが採用されました。この部分には透明なマテリアルを使用することがコンセプトでしたので、金属類は素材検討の対象外であったとのことです。
これらを SONY さんは「バーティカル ドライブ テクノロジー」と呼び、駆動方向に対して音の出る方向が垂直(Vertical)となる新開発の振動システムは、離れた距離での高域の音の減衰が少ないという特徴があります。
また、この有機ガラス管はミッドレンジの共鳴管にもなっています。
デジタルアンプ部は、入力された信号を DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー : デジタル信号処理装置)で、トゥイーターの複数の加振器、ミッドレンジ、ウーファーそれぞれに最適化した信号に変換、スピーカーユニットをマルチアンプ駆動しているとのことです。
スピーカシステムの高さにも“こだわり”があり、1,845mm という寸法は、立って聞いても、座って聞いても音像がくずれないという理由で決定されたそうです。
このスピーカーの設置場所は、(360度に音楽を再生しているので)部屋の中心部が適しているとのことですが、極端な壁寄りやコーナー部でなければ十分に音楽は楽しめると言っていました。テストした結果では 20m 程度の部屋であれば問題なくクリアな音は再現できるそうです。
さて、音について軽くインプレしましょう!
SONYさんが用意した音源は、ギター、オルゴール、サックスです。開発者の方は弦楽器の弦をはじく音、サックスの抜けの良さと息使いまで聞いて欲しいと言っていました。ボーカルにも向くそうです。
視聴して、確かに弦楽器のクリアーで粒立ちの良い音は特筆ものですね。ギターのピック音も(やや強調された音源でしたが)きれいに艶に聞こえます。
ただ、音場空間の再現には不向きなようで、オーケストラやジャズを真剣に聞きたいピュアオーディオ派のためのスピーカーではないことを一応書き加えておきます。
そこらへんは SONY さんも分かっていて、ターゲットユーザーは、部屋でゆったりとリラックスして音楽を楽しみたい人、リビングで上質な音楽を求めている人、ホテルロビー、ラウンジなど公共スペースオーナーと言っております。
インテリア家電として、新しいマーケティングを求めて開発されたスピーカーシステムというのが、良くわかりました。売れるか売れないかはマーケットが判断すると思いますが、売れなくても SONY のネームバリューを上げる、いかにも SONY らしい製品でした。
この記事は、2008年9月13日に開催された「SONY Dealer Convention 2008」にて、特別企画された「開発者セミナー」をレポートしたものです。
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